"felix ex machina"

（ただの雑文）

「　お前　楽しかったか？　」

投げかけた声は　仮面でくぐもる
答えはない　それはただ此方を見つめている

「　赤いな　何か恨みでも？　」

投げかけた声は　冷え切って平坦でいる
言葉はない　それはただ此方を指さした

「　それを　断ち切るために来た　」

投げかけた声は　篩いに掛けて揃えられる
表情はない　それはただ此方を睨み付けた

「　心配は　要らない　」

投げかけた声は　振り上げる刃の音に掻き消される
声はない　それはただ此方を呪うと唇を動かした

「　構わないが　意味はないぞ　」

投げかけた声は　振り下ろす刃の音に紛れる
為す術はない　それはただ此方に断ち切られた

「　ただ　お前が悲しいだけで　」

投げかけた声は　虚しく響き渡る
答えはない　それはもう此処には居ない

赤もなく　黒もなく　ただ残骸だけがある
ソレは　微笑んでいるようにも見えた

「　嗚呼　」

空を見上げると　雪が降っていた

「　なんて透明な　夜だろう　」

―――　幸せになれ　例え　それが機械仕掛けでも