散文「ドジっ仔」

（ただの散文）

無題

手を伸ばすのは　とても難しい
手を伸ばせぬ者に伸ばさせるのは　もっと難しい

救うのは　とても難しい
救われに行くのは　もっと難しい

踏み出すのは　とても難しい
背中を押すのは　もっと難しい

己の業を認めるのは　とても難しい
何が己の業なのか見極めるのは　もっと難しい

そして　仕方ないという言葉に逃げるのは　更に難しい

己の死を受け入れるのは　とても難しい
だが　大切な命と引き換えならば　それは幾ばくか容易になる
後悔も悲しみも　大切な者に渡して　逝くことになるのだから

大切な者の死を受け入れるのは　至難だ
それが　救えたかもしれない命であれば　尚更に
渡された後悔も悲しみも　全て背負って　行くことになるのだから

きっとまだ　時間はかかるだろう　…
それでも　その一歩は　ゼロではないのだ

無題

一息つきに酒場へ行くと　アイビス　ルークスに出会った

ルークスは今回の獲得金を　アイビスに　ほとんど渡したようだった
無欲なのか　興味がないのか判らないが　…
中々できることではない　ような気がする

私は遠慮無く貰って　運用に回すことに

その後　ルークスをつつきながら　お金の話をする
アイビスは矢張り　私より随分しっかりしている　…
そうして　つつかれても怒らないルークスは
そういう面でも　…きっと　良き理解者なのだろうなあ　と　そう思った

…ルークスにも　ルルのこと　頼んでみればよかったかと　今更思ったが…
言いそびれてしまった事は　仕方がない　…


あれこれ話し　酒場をあとに

黒

鑑定結果及び在庫管理帳提出
これで迷宮探索における私の役割は終了した

必要事項連絡の後　航海準備開始
更には　平行で依頼品の製作中

仲間が見つかり次第　ＳＥＡに向けて出発する
きちんと仲間を　見つけられるだろうか…


…　これほど忙しいのは　久しぶり…

黄金の玉座

迷宮より　とある魔導書を見つけて帰還

ルルに出会った　件のナレノハテが持っていた魔導書が
どこかに飛んでいったことを　悔しがっていたようなので
帰りにみつけた魔導書をあげた
…　一度は自分で読んでみたから　大丈夫だと思ってあげたのに
全く大丈夫ではなかった

適格者（術師である事が条件？）を選定して　効果が発動する魔導書だったらしい
私の不注意で　ルルは瞬く間にリッチ一歩手前になってしまった
だが　ルル自身の対処によって何とか持ち堪えたようだ
その際　魔石が爆発した　私の事は　あの仔が守ってくれたが
駆けつけてくれたシェヂャも　結構なダメージを負った

エルダーブルー　深海の大神殿へ向かわなければならない　そう頼まれた…
片手の塞がった私一人では（片手が塞がってなくとも）
ルルを其処まで運ぶのは不可能　…　誰か同行者を捜さなければならない…
シェヂャは船が苦手な様子だが　いざとなったら猫の手を貸してくれる様子
有り難い話だ　…

ところで　あの仔はやっぱり　私以外は死へ誘おうとしている様子
死は救済であり　同時に　終焉である　…


鑑定のほうは　順次済ませているので問題ないだろう
それより…ルルが心配だ
一刻も早く出発しなければならない　そして　連れて行かなければならない

とりあえず　シェヂャと一緒に　ルルを聖堂へ運ぶ